“世界に一つだけのおいしいチョコレート”を
生み出す
「久遠チョコレート」の生みの親
夏目浩次さんインタビュー

夏目浩次さんインタビュー

2014年にチョコレートの製造販売をスタートし、わずか7年で全国に52拠点のチョコレート専門店を構える
久遠(クオン)チョコレート。

「全ての人々がかっこよく輝ける世界」をコンセプトに、障害者の雇用、就労促進を図るかたわら、産地や製法にこだわり抜いた
「世界に一つだけのおいしいチョコレート」を生み出しています。

全国の百貨店のイベントスペースにも多数出展しているので、名前を聞いた事のある方もいらっしゃると思いますが、
久遠チョコレートの本店は豊橋にあります。

今回は、久遠チョコレート代表の夏目(なつめ)
さんに、チョコレートに対する想いやこだわりをたっぷりと伺ってきました。

 
——夏目さんがチョコレートを選んだきっかけは?
夏目浩次さんインタビュー
「僕のビジョンのひとつに『障害を持っている方が輝いて働ける場所を作りたい』という想いがありまして、
雇用の場を作るためパン屋から事業をスタートしました。

パン屋ではお客様に選ぶ楽しみを提供すべく、惣菜パン、菓子パン、食パン、ハード系など複数種類のパンを取扱いました。

しかしながら、全て製造のオペレーションが異なるので現場は大混乱してしまいました。複数の導線が混在し、
頭の中はマルチタスク状態。朝3時から働くスタッフの生産性を保てる環境が作れず、
もがいて、もがいて、もがきまくっていました。」

 
夏目浩次さんインタビュー
「僕がもがいていた37才の時、ショコラティエの
野口と出会いました。彼は、星つきレストラン、ハイクラスホテル、
名門ファッションブランドなど多くの他業界名門チョコレートをプロデュースする
トップショコラティエです。

彼から話を聞く中で、チョコレートはパンと異なり、製造オペレーションがシンプルであり、人の時間にチョコレートが
合わせてくれる点に魅力を感じました。そこでチョコレートで勝負しようと思い
2014年に久遠チョコレートを始めました。」

 
——夏目さんがチョコレートを作る上で大切にされていることを教えてください。
夏目浩次さんインタビュー
「とにかく、チョコレートの作り手が楽しむことを大切にしています。なぜなら、作り手がワクワクしないと、
お客様に良いものはお届けできません。

『これを食べたら、お客様は美味しいと思って
いただけるかな?』
『これを見たら可愛いと感じていただけるかな?』

と、小手先のテクニックは二の次で、早くお客様に召し上がって頂きたい、早く手にとってもらいたいという熱量
一番大切にしております。」

 
——今、夏目さんがワクワクしていることはありますか?

「コロナをきっかけに、僕たちの価値観は大きく変化しました。色々なことが制限される中で、僕たちは一度立ち止まって、
裏にはどんなストーリーがあるのか、どんな本質があるのかなど、消費者に様々な価値観が受け入れられる世の中に
なってきたと実感しております。

これは、チョコレートも同じだと思っております。例えば、国が違えば味が違い、産地が違えば味も濃度も異なります。
もっと違いをお客様に楽しんでいただき、お客様にピッタリのチョコレートを開発していくことを考える時が、
今もっともワクワクする瞬間ですね。」

 
——どのようにして150種類のフレーバーは生まれたのでしょうか?
夏目浩次さんインタビュー
「僕たち日本人は『みんなと同じが良い』教育を受けてきました。それは、お菓子にも通づるところがあり
『お菓子も常に同じ味が良い』という価値観が根強く残っておりますね。

それも日本の伝統なのですが、日本には生産者さんの顔が見える素敵な食材がたくさんあります。
食に携わる人間としては多くの方に魅力を伝えたいと思っています。

そこで、僕が惚れ込んだ食材とチョコレートとかけ合わせて商品開発をしていたら、気づけば150種類ものチョコレートが
誕生しちゃいました。」

 

「例えば、僕たちに馴染みの深いお茶。お茶一つとっても高台で採れたものと平地で採れたものとでは、味が全く異なります。
もっと細かくいえば、茎と葉の部分でも香りや濃度も変化します。

そして、お茶は急斜面で栽培することによって、寒暖差があるので虫がつかず、無農薬で栽培することができるのです。
斜面があることで土壌が下に流れて行き常に綺麗な水が土地の中に染み込みます。だから美味しいお茶を頂くことができるのです。

生産者の顔が見えるこだわりのフレーバーと世界各国で栽培されたカカオを掛け合わせることにより、
世界に一つだけの久遠チョコレートが誕生します。」

 
——夏目さんがおすすめするフレーバーベスト3を教えてください!
夏目浩次さんインタビュー
リッチベリー
「一つ目は、『リッチベリー』と言われるイチゴのチョコレートで、女性の方に人気の商品です。農家さんが育てたいちごを
贅沢に使用し、フリーズドライいちごがチョコレートの中に入っています。太陽の光をたっぷり浴びて育ったいちごの濃さと
フルーティーさをお楽しみいただける一品です。」

ほうじ茶チョコレート
「二つ目は『ほうじ茶チョコレート』。先ほどお伝えした、生産者さんが手間暇かけて作ったお茶を石臼で引いて粉末にした
ものをチョコレートに練り込んでおります。

機械でお茶を引くと、摩擦熱が発生し、せっかくの香りや風味が飛んでしまいます。そうならないために、手作業で丁寧に
引いたほうじ茶をチョコレートと合わせた自慢の一品です。」

ピスタチオ
「最後は、『ピスタチオ』。ピスタチオペーストをたっぷり使って、さらに砕いた、ピスタチオをトッピングしたチョコレートです。
香り豊かな濃厚なピスタチオと、ザクザクとした食感をお楽しみいただけます。」

 
——夏目さんにとってチョコレートとは?
夏目浩次さんインタビュー
「僕にとってチョコレートとは、『自分の作りたい世界を実現させてくれるもの』だと定義しています。
だからチョコレートと一緒に生きていこうと思います。

チョコレートの歴史をたどると、チョコレートは古代から神聖な食べ物として、神に捧げる神聖なものとされていました。
そして、時代は現代になりチョコレートは僕たちにも身近なスイーツとなりました。

だから僕にとって、チョコレートは神様が
『お前、そんだけもがいているんだから頑張れよ!』とポンと与えてくれたギフトだと思っていますね。」

 
——夏目さんの次の目標はありますか?
夏目浩次さんインタビュー
「僕がこんな社会を作って、次の世代にバトンタッチして一生を終えて行きたいと思っています。
今ようやく屈伸運動が終わってチョコレートと一緒にスタート地点に立つことができました。これからどんなジャンプができるか、
どんなものが作れるか今からワクワクしています

まだまだ久遠チョコレートは変わっていくと信じています。僕の人生が終わる時に、どんな景色が見えるのか今から楽しみです。」




夏目さん、ありがとうございました!

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(※この記事は2022年12月に作成しました)